カプリスのかたちをしたアラベスク

このブログはフィクションです。詳しくはプロフィール参照。

【最近のできごと】

西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
小説・詩・短歌のアンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ」が発売されました。
ぼくは大滝瓶太として「二十一世紀の作者不明」という短編小説を寄稿しています。

「波 2017年7月号(新潮社)」など、雑誌にもちらほら取り上げてもらいました。

また短編集「教育と育児」も好評発売中です!


【書評】はあちゅう「通りすがりのあなた」/世界とわたしの鬼ごっこ

※本エントリーには、はあちゅうの短編小説集「通りすがりのあなた」のネタバレはありませんのでご安心ください。 通りすがりのあなた posted with ヨメレバ はあちゅう 講談社 2017-09-27 Amazonで見る Kindleで見る 書きにくい書評というのはふたつあって、…

文芸誌を読むということ/おもしろい・おもしろくないを言い切る尊さ

長編を読み切る時間と気力がないのだけれど(その割に実入りが悪い)、いちおう毎日本は読んでるので、きょうは最近読んだ文芸誌の短編・中編の感想を書きたいとおもう。 読んだのは「文藝2017年冬号」「たべるのがおそいvol.4」だ。 文芸 2017年 11 月号 […

「何者でもないわたしたちという誰か」のこと〜ノーベル賞、カズオ・イシグロ、現代世界文学とオートフィクション、母国語至上主義について

きのう今年のノーベル文学賞がカズオ・イシグロに決まったというしらせをきいて、あまりにもびっくりして声が出てしまった。 もちろんカズオ・イシグロはいうまでもなく優れた作家であることはわかっていたのだけれども、2年連続英語圏の受賞ではないだろう…

「回遊人(吉村萬壱)」感想/死者の居場所

回遊人 (文芸書) posted with ヨメレバ 吉村萬壱 徳間書店 2017-09-26 Amazonで見る Kindleで見る 彼女の夫の居る時空と私が居るこの時空とは、何がどう違うのだろうか。私は一体、本当はどこにいるのか。確かな事は、女将の夫は既に死んだという事だ。その…

【翻訳短編】スコット・フィッツジェラルド「祝福」(原題:Benediction)

フィッツジェラルドの短編「Benediction」を翻訳しました。 今回は、Twitter上でお友だちから翻訳リクエストをいただいたのをきっかけに取り組んだ感じですが、なにか「これを訳して!」というのがあれば、お気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。モチ…

懐かしさ、あるいは重ね書きされた世界のリアリズム/映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」感想

※このレビューはアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?上から見るか?」の内容についての言及を含みます。 岩井俊二原作のドラマ作品が、「物語シリーズ」や「魔法少女まどか☆マギカ」などで有名な制作会社シャフトによって映画化された。シャフトは好き…

温又柔「真ん中の子どもたち」感想/「アイデンティティの安全」を生きるわたしたちの無自覚な暴力

第157回芥川賞の選評が公開された。 文藝春秋 2017年 09 月号 [雑誌] posted with ヨメレバ 文藝春秋 2017-08-10 Amazon Kindle 芥川賞の特殊なところはなによりもその影響力なのだけれど、それ以外にも「選考委員全員が現役作家」というものもある。選考委…

「囚われの島(谷崎由依)」感想/強迫観念と寓意、物語という感覚器官

囚われの島 posted with ヨメレバ 谷崎由依 河出書房新社 2017-06-12 Amazonで見る Kindleで見る 時間の感覚、そして空間の感覚。 見えなくなるにつれて、わたしはわたしの内側に世界の地図を記録しはじめる。 平面のそれではなく、絵ではなく、世界そのもの…

在宅パパがフィーリングで牛すじ煮込みをつくったのでレシピを公開するよ

ブログといえば料理ということで、ぼくの手料理でもアップしてみる。 うちはぼくが在宅ライターで嫁氏が会社員という家庭なので、平日の家事諸々と子育てはぼくがやっている。しかしこれがなかなかめんどうくさい家庭外でのコミュニケーションを生んでいて、…

【翻訳短編】H. G. ウェルズ「新星(The Star)」

古典SFの大家、ウェルズの短編「The Star」を翻訳しました。 まだプロトタイプな感じは否めないですが、お楽しみいただければ幸いです。これから定期的に古典短編の翻訳を公開していきたいと思っています。 3つくらい翻訳のストックがたまったら解説もつけ…

「ヒドゥン・オーサーズ(惑星と口笛ブックス)」についての雑感/自由と不自由は相反しない

このブログで何度も宣伝してきた「ヒドゥン・オーサーズ」という電子書籍アンソロジーが発売されてもうじき3ヶ月になる。 小説を書きはじめたのは23歳の夏くらいで、はじめはネットの小説投稿サイトでちらほら短編を書いていて、それが気がつけば文学賞に応…

小学生のころからカブトムシのかっこよさが一貫してわからない

夏といえば虫とり、というのがちびっ子たちのあいだでは定番で、幼少期を瀬戸内海の島の山奥で育ったぼくとてやはりこの時期になるとよく虫をとった。先日、母親が近所のおばちゃんから「おいしい肉」をもらってそれをわざわざ神戸にあるうちまで持ってきて…

英語で小説を読みたいひとが知っておくと便利なことをまとめてみたよ!

ぼくは海外の小説がすきなのだけれど、しかし小説読者の大半はおそらく翻訳された小説に読みにくさをかんじている。すくなくとも、ぼくがこれまでに会って話をしたひとのほとんどが「洋モノは苦手」だといっていて、翻訳がよくないとかそんなことをいってい…

【感想】大前粟生「のけものどもの(惑星と口笛ブックス)」/小説を読む瞬間にしか現れない物語

小説を読まなければ読めない小説がある、ということをよくかんがえる。小説は物質的な範疇でいってしまえば「単なる文字の配列」でしかないし、だからこそ言語さえ身につけてしまえばかんたんに読めてしまえるはずだ。しかし、事実としてとくていのひとにと…

アイドルが「掟破り」の結婚宣言する前に「推しが武道館いってくれたら死ぬ」というマンガを読んでほしい件

朝目覚めたら、Twitterが魑魅魍魎阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。 その事件とはいうまでもなく48グループの総選挙で、NMB48の須藤凛々花が結婚宣言をし、その相手もいるとスピーチでぶっちゃけた話だ。 Twitterの反応に、不覚にも笑ってしまった。 りりぽ…

子どもが生まれてからオナヌーできない問題。

とつぜんだけど、セッ久とオナヌーはちがう。 ぼくはそうおもっている。 日頃のストレスやらお酒飲んだときとかのやり場のない性欲は射精によって回収されるといえばそうなんだけど、射精すりゃいいってもんじゃない。仕事でも主にビジネスビジネスとぶひぶ…

【お知らせ】電子書籍アンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ(惑星と口笛ブックス)」が発売されました!

まちゃひこです。今日はちょっとした活動報告です。 目次 「ヒドゥン・オーサーズ」が発売! 「惑星と口笛ブックス」について 「ヒドゥン・オーサーズ」が発売! 以前からちょくちょく告知していました、電子書籍アンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ」なので…

無機質なものとしての生命、人間依存しない知性/「BLAME!」「横浜駅SF」について

毎週水曜日はシネリーブル神戸が安いので、午前中に映画「BLAME!」を観てきた。 原作は弐瓶勉のマンガ作品であるのだけれど、その個性の強さゆえに一般性は低い。「ハードSF」と呼ばれるように非常に重厚で煩雑な設定を持った世界観であるにもかかわらず、作…

伏見つかさ「俺妹」→「エロマンガ先生」の発展がなぜ素晴らしいか真剣に考えてみた。

※このエントリーには伏見つかさによるライトノベル作品「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「エロマンガ先生」の一部ネタバレを含みます。 お兄ちゃんのバカ! 変態! ラノベ主人公〜! でおなじみのエロマンガ先生がおもしろい。今期でぶっちぎりで好きな…

平野啓一郎「マチネの終わりに」を120%楽しむために、演奏されていたギター曲を解説するよ!

マチネの終わりに[Kindle版] posted with ヨメレバ 平野啓一郎 コルク 2016-04-08 Kindleで見る Amazon[書籍版]で見る 平野啓一郎のベストセラー「マチネの終わりに」を読んだ。 この本はクラシックギタリストと女性ジャーナリストの「切ない恋愛」を題材と…

「サイコパス」を知ることの意味/【悪の教典】【コンビニ人間】に見る「社会」と「狂い」の軋り

※映画「悪の教典」より 高校生ぐらいのときから、心理学というもの全般に胡散臭いイメージを抱いている。 とは言っても、ぼくはこの学問分野を否定したいわけじゃなく、あくまで個人的に釈然としないことが多いという、それだけの印象から思っているにすぎな…

恋愛サイコパスが読める恋愛マンガは不倫SF「あげくの果てのカノン」/恋愛をSFで語る意味について

久々に恋愛ものの小説やマンガを読みました。 今日のお話 「恋愛サイコパス」なるもの 「SF」と「純愛」の親和性について 「最終兵器彼女」との類似 まとめ 「恋愛サイコパス」なるもの 先日、友だちと江國香織「神様のボート」の読書会をしていたとき、恋愛…

ベビーカー付き東京観光はほぼ不可能/ひとりで「バベルの塔展(ボイマンス美術館所蔵)」の感想。

ゴールデンウィークということで、家族(嫁・息子・義母・義叔母)で東京に来た。メインの目的はこの四月から東京へ引っ越してきた義妹夫婦のおうち訪問なのだけれど、一泊して嫁と息子と義母と義叔母は関西へ帰り、ぼくは明日と明後日にちょっとした用事が…

うんこ作家が紹介する野糞本がやばすぎて凄まじくおもしろいってことをみんなに伝えたい。

今月の文芸誌「すばる」にて、うんこ作家の木下古栗が書評を書いていた。4冊くらいまとめて紹介していたのだけれど、どれもこれもかれの作風を象徴するような選書で非常におもしろかった。 すばる2017年5月号 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/04/06 …

川上未映子「シャンデリア」感想/わたしじゃない他者のすべてに思考が宿っているということ

シャンデリア (Kindle Single)[Kindle版] posted with ヨメレバ 川上 未映子 2017-01-11 Kindleで見る シャンデリアが落下する瞬間 ─ ─ きっとその瞬間にわたしはどこ にいたってその真下にいるはずで、わたしは目を見開いて、ものすごく見開いて、その落下…

2017年春アニメでオススメのやつを7つ選んでみた。

2017年春アニメももう3週が過ぎようとしている。 この3週というのはだいたい「どのアニメを追うか?」を選定するまでの期間で、しかしその選定というのはだいぶ神経を使う。 アニメレビュー的なことをするならばせめて20本は見ろよ、という声が聞こえてき…

最近のライトノベルで作家・作家志望の主人公が増えているのはなぜなのか?

2017年春アニメをちらほら見ていて、だいたい見るものを7,8本くらいに絞ったのだけれど、そのリストを見てみると「作家・作家志望」が主人公(または主要な人物)であるものが3つあった。 冴えない彼女の育てかた♭ エロマンガ先生 Re:CREATORS 月がきれい …

すべり芸人がすべるだけの番組「THEすべり場」がひどすぎて声出して笑った

dTV

ずっと家で黙々と作業をしているのだけれど、作業中に耳が寂しくなったらdTVでトーク番組をつけている。 基本的に落語や小話が好きなので、怪談とかを変にドラマ化されると興ざめしてしまう。ラジオは中学生の時にミューパラ(関西でおなじみ)を聞いていて…

原作ラノベ「ノーゲーム・ノーライフ」を読んで劇場版・アニメ続編に備えた件

※このエントリーにはライトノベル作品「ノーゲーム・ノーライフ」の内容に言及する箇所がありますが、核心部のネタバレはしないように頑張りました。 好きなアニメであって、そして2期をずっと待っているのに一向に放映されない作品「ノーゲーム・ノーライ…

本屋大賞は超信じられるのか?読書ジプシーが信じられる文学賞ってなに?

さっき、2017年本屋大賞が発表されて恩田陸「蜜蜂と遠雷」が受賞した。 直木賞との二冠達成である。 蜜蜂と遠雷 posted with ヨメレバ 恩田 陸 幻冬舎 2016-09-23 Amazonで探す Kindleで探す 受賞作については以下の記事ですでにレビューを書いている。 ■第1…