カプリスのかたちをしたアラベスク

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【最近のできごと】

西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
小説・詩・短歌のアンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ」が発売されました。
ぼくは大滝瓶太として「二十一世紀の作者不明」という短編小説を寄稿しています。

発売翌日の2017年5月29日現在Amazonランキング「日本文学」部門で第3位!

また短編集「教育と育児」も好評発売中です!


貴志祐介の巻

先日、うちの大学に貴志祐介が来て講演をするというので、見に行こうと思ったら満員だった。それでサテライト放送でご覧ください的な感じで別室で見てました。なので質問できませんでした。チャンスがあれば聞いてみたいことがあったのですがー。

 

しかして演題は

「なぜ残酷な表現がエンターテイメントに必要なのか」

という、なんとも興味深いもので期待は否応なくあがったのだけど、結構予想の範疇の講演でちょっと個人的に退屈でした。(もちろん、おもしろいこともたくさんありました)

貴志ファンはお友達のなかでも結構多いし、最近は「悪の教典」の映画化、「新世界より」のアニメ化もあって、講演会のことをまとめて書くと喜ばれそうな気がしますが、メモも残さなかったし、書くのも億劫!ということで割愛します。ゴメンナサイ!

 

ぼくはちなみに彼の作品は「悪の教典」と「クリムゾンの迷宮」の二作しか読んでいません。デビュー作の「黒い家」は角川ホラーの棚の前を通るたびに気になってるのですが未読です。あややのやつも同様に!

 

読んでてすごく思うのは、結構なボリュームのページ数なのに一日とか二日で読み切れてしまうというか、気がついたら最後まで読んでる、みたいな読みやすさです。純文学系の小説を読むときは高々200ページのものでも4,5日かかるぼくですが4、5時間程度で一冊が読めてしまう。というか、半分くらい読んだあたりから本を閉じるのがめんどくさくなるというか、読み切らないとモヤモヤする、みたいな、まぁ作者の狙いどおりの読者になってしまってます。でも、体がかゆくなる文体で、そこは苦手(特徴的な文体ではないです、個人的にエンタメ一直線小説の文体が昔から苦手)。

 

アマゾンレビュー的に以下!(★は3が「まぁまぁ」です)

ネタバレにならないようにがんばる。

 

クリムゾンの迷宮

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

★★☆☆☆

いまでいうと、「インシテミル」に近い感じあると思う。

ロープレみたいな小説だった感。

ある日突然どこかわからん場所で目覚めて、それの「攻略本」的なポジションの「ゲームブック」が登場し、それに書かれていることが伏線だったりする。こういうことをすると「B級ホラー+人形劇」的なすげぇ安っぽいものになりがちで、実際そういう臭いはすごくあった。ただ、主人公が必死に考えて必至に生きてそういう展開になる的な(もちろん全部が全部じゃないけど)ところはよく計算してるなってなった。

あと「こうくるだろう」と分かっていても「うわぁ…」って思わせたり、意外じゃないのにぐっと引き込むところはこのひとの力強さだと思う。

ただなぁ……、ゲーム的な演出に落とし込むにしろ、思考や感覚のリアリズムを出すにしろ、全体的な物語の見せ方が中途半端だったと思うし、真相をちらつかせるような小道具の類もこざかしいなぁとか、そんな感じでやや辟易。

 

 

悪の教典

悪の教典 上

悪の教典 上

悪の教典 下

悪の教典 下

★★★★☆

高見広春の「バトルロワイアル」を中学生のときに何回も読んでいた僕としては、あのときの病を全力で喚起する系の小説。

しかしまぁ、これはほんとに損してる!宣伝で損してる!映画でもそうだけど、「クラス40人を全滅させる先生」っていう宣伝文句は、下巻の中盤あたりの緊張感だとかびっくりだとか、ものすごく下げてしまう。あの「なんでやねん!」感がいいのにって思う。

まずリアリズムを求めるのがおかしい類の設定で、教師も変人だらけでもうそこはエンタメでしょうって感じでした。こういうのわんさかでるのは読んでて楽しい派。あと、カンニングをはじめとする伏線のはり方も丁寧で、「生徒40人殺害」のために必要な「クローズドサークルを作る」っていうことを、できるだけ自然な形で実現するためにはたしかにこれだけのボリュームがいるなぁと納得、というより感心した。

普段だったらいやになってくる「どことなくスベッた感満載のユーモア」も、蓮見のキャラクターには合っていていい方向で働いた。

それにしても、2発しかロードできない散弾銃で40人を一網打尽とか恐れ入ります。「ハスミン無双」っていうゲームでるんじゃね? 生徒は窓から飛び降りて逃げろ。

 

 

***

 

新世界より」を近々よみたい。