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【数学】モンティ・ホール問題の解説を通して考える「数学の感覚」の話

こんばんは、まちゃひこです。

月曜日が近づいてきてかなり鬱々してます。

最近のぼくのブログ、なんだかアニメの話しかしてない!!っていうことに今日気がついてしまって、いやそれはそれでいいのですが、なんというかもっと、じぶんのキャリア(笑)を活かしたような記事を書いてもいいんじゃないかって考えたので、今日はちょっと数学の話をします。解説さん太郎になります。

 

最近、理系になじみのないひとが周りに増えてきて、そういった方々は

「数学なんかできなくても生きていけるし!」

的なことをおっしゃられることが多く、まぁそうなのかもしれないですけど、やっぱりずっと数式をいじってきた人間としてはさみしいものを感じます。

最初にいっておくと、数学だけじゃなくて学問全般で「この知識が生活の○○に役立つ」とか、そういう発想はやめた方がいいです。学問がなんの役に立つのか?という大きな問題について思うところはありますが、それに関してのコメントは今回は控えます。<なにかに役立てるために>学問をする、というのはやっぱりなんか気持ちが悪い。もちろん、実学的な研究ではそうなのだろうけど、目的に合わせて学問を間引くみたいな発想を、ぼくはどうも貧弱だなーって感じてしまうんですよね。

ちなみにぼくの専門(工学部)は熱力学とか統計力学とかその辺でした。工学部でしたけど、実学云々はほとんど考えてなかったです(ボスのせいにしておきます)。

 

さて今回は数学。

数学科とか理学部の物理学科とかそういったフィールドで活躍されている方に比べたら、ぜんぜん数式の扱いはヘタクソですが、まぁ、数式の感覚は人並みにはあるんじゃないかなーとか思っています。

 子ヤギ

今日の題材は「モンティ・ホール問題」

中学生レベルの確率の知識があれば「ふ~ん」くらいには読めるかな?ってレベルです。

それでは、はじめましょう!

 

「モンティ・ホール問題」とは?

そもそもこの名前を聞くのも初めてって方も多いでしょう。元ネタはアメリカのテレビ番組かなにからしいのですが、つまりは以下のような確率の問題です。

「プレイヤー(回答者)の前に閉じられた3つのドアが用意され、そのうちの1つの後ろには景品が置かれ、2つの後ろには、外れを意味するヤギがいる。プレイヤーは景品のドアを当てると景品をもらえる。最初に、プレイヤーは1つのドアを選択するがドアは開けない。次に、当たり外れを事前に知っているモンティ(司会者)が残りのドアのうち1つの外れのドアをプレイヤーに教える(ドアを開け、外れを見せる)。ここでプレイヤーは、ドアの選択を、残っている開けられていないドアに変更しても良いとモンティから告げられる。プレイヤーはドアの選択を変更すべきだろうか?」

 

引用元:モンティ・ホール問題 - Wikipedia

みんな大好きウィキペディアにはこうあります。「モンティ」っていうのはクイズ・ミ○オ○アの「みの○んた」みたいなひとだと思ってくれればOKです。っていうか、クイズ・ミ○オ○アのフィフティ・フィフティも全く同じ問題になるのですがそれはさておき。

フィフティ・フィフティの場合も同じですけど、

「結局のこった2つのうちのどっちかがアタリなんだから、確率はドアを変えようが変えまいが1/2なんじゃないの??」

というふうに直感的に思えてしまう。そして実際に1/2にはならない。

なんで??

 

極端な例を考える

一番愚直な解法は樹形図を書くことですが、そんな七面倒くさいことをここではしません。サクッとザックリ解きましょう。

そもそも、モンティがいらんことをしなければ、勝率は1/3なわけです。この問題の気持ち悪いところは、モンティがちょっかいをかけることで、勝率が変わるみたいな話になっているところです。テキトーに選んで勝率1/3だったものが、モンティがドアを開けることでなぜ1/2になるのか?勝率が変わるなら、どのように変わるのでしょう?

 

こういうときの鉄則は「極端な例を考える」ということです。

というわけで、ドアの数を10000個に増やしてみます。

そのなかでアタリはやっぱり1つ。そしてモンティはアタリと挑戦者が選んだドアを残してぜんぶ開けます(9998個のドアを開ける)。

そしたらどうでしょう? 勝率は1/2でしょうか?

これ、ドア変えた方が勝ちますよね。

だって、一発目の選択で1/10000を引き当ててるとか、常識的に考えないじゃないですか。最初じぶんが引いたものはアタリのはずがない、そう考えると、残った1つのドアに選択を変えることは、自分が選ばなかった9999個のドアを選んだことに等しいと考えられます。

もとのドア3つの問題に戻ります。起こっていることはドアが何個だろうが同じことです。なので

ドアをモンティが開けた後に変更したら、最初に選ばなかったドアをすべて選んだのと同じ勝率

という仮説が立ちます。

つまり、ドアを3つに戻すと、

ドアを変えない→勝率1/3

ドアを変える →勝率2/3

となるわけです。

 

数学的にはどうなん?

前章の仮説は感覚的には理解できます、しかし厳密さがないっていうことに不満を抱く方も多いのではないでしょうか?

というわけでここから先はいよいよ数式を使っていきたいとおもいます!

まず、扱う数字の定義からはじめましょう。

ここで、各事象と数字をまとめておきます。ドアがそれぞれ①、②、③の番号がついているとして,

C1,C2,C3:それぞれドア①,②,③がアタリである事象

M1,M2,M3:モンティが挑戦者のあとにそれぞれドア①,②,③を開く事象

X*:事象Xが起こらない事象

 X∩Y:事象Xと事象Yが同時に発生する事象

P(X):事象Xが発生する確率

P(C1)=P(C2)=P(C3)=1/3

 ここで、

「モンティがドアを開いた後、ドアを変えたときの勝率」

ってどうやって表せばいいのでしょうか?

実は、数学で最もといっていいほど重要なのは、この問題を読みかえる力だと個人的に考えています。

 

特殊なケースを考える

ここでさっきにやった「極端な例を考える」と似ているのですが、

特殊なケース(=具体的なケース)を考えてみたいことにします。

だいたいのことは一般のことを考えるのはむずかしくて、アインシュタインも相対性理論はまず「特殊」からはじめて「一般」を完成させましたが、まぁそんな感じです。

数学におけるこれは「ある変数を固定する」という手続きをとることです。

というわけで、

挑戦者は①を選ぶ

モンティは②を選ぶ

 

としましょう。じっさい、重要なのは彼らが何番を選ぶかじゃなく、彼らが選んだドアがアタリかハズレか、ということですし、答えを知らない挑戦者からしたら、どのドアも勝率は1/3です。だからもう選ぶドアを固定しちゃっても、これから求める確率には影響がでません。これを「一般性を失わない」っていいます。理系の決めゼリフです。

 

条件付き確率

ここでこういう確率を導入します。

ある事象Bが起こるという条件の下で事象Aが発生する確率を

P(A|B)

と書く

これを「条件付き確率」といいます。これはとりあえず「後だしジャンケン」だと思ってもらえればOKです。図に書くとこんな感じです↓

 

f:id:bibibi-sasa-1205:20150125203431j:plain 

単に「AとBが同時に起こる」なら、P(A∩B)となるけれど、

 

f:id:bibibi-sasa-1205:20150125203437j:plain

条件付き確率では、P(B)という<全体>のなかでP(A∩B)が発生する確率を示す。

 

だから一般に

P(A|B)  =  P(A∩B)/P(B)

となります。

また、上の定義に加え、準備として「ベイズの定理」も証明しておきます。

P(A∩B) = P(B∩A) なら

P(A|B) = P(A)/P(B) × P(B|A) 

 これについて、いろいろ言いたいことはあるのですが、今回は置いておきます。

 

これを使うと、選択を変えたもの(=③のドア)がアタリの確率はベイズの定理より

P(C3 | M2)    = P(C3) P(M2|C3) / P(M)

ここで、事象M2はいつも挑戦者が選んだドアに依存するため、考えられるすべての事象を足し合わせる。「モンティは必ず外す」という前提を使って式を計算していくと、 

P(M2)     = P(C1)P(M2|C1) + P(C2)P(M2|C2) + P(C3)P(M2|C3)

          = 1/3 × 1/2  +  1/3 × 0  +  1/3 × 1

          = 1/2

となるので

P(C3 | M2)    = 1/3 × 1 / (1/2)

      = 2/3

めでたく、極端なケースを考えて立てた仮説

ドアをモンティが開けた後に変更したら、最初に選ばなかったドアをすべて選んだのと同じ勝率

と同じ数字を得ることができました(注:今回は仮説そのものを証明したわけではありません)。

 

おわりに

どうでしょう?あまり上手な説明とはいえない上に、だいぶ危なっかしいロジックかもしれないのですが、なんとな~くでも理解できましたか?

まぁ、なにが言いたいかって、モンティ・ホールや条件付き確率云々は、それ自体超おもしろいことがたくさん詰まっているのですが、ひとまずここでは割とどうでもいいのです。

この問題を考えるにあたって使ったテクニック:

・極端な例を考える(極限をとる)

・特殊なケースを考える(対称性を使う)

というのは、院生時代にボスからちょくちょく言われてきましたが、リケーだのブンケーだの関係なしに大切なことだと思います。ぼくとかは極限や対称をまず考えたりするのですが、それを思い浮かべるだけで(ものによっては)だいたい答えがわかったりします。それが数学の感覚なのかもしれませんが、なにかを思考する、というプロセスじたいに、今回話した範囲では「数学の特異性」みたいなのはない気がします。ぼくはそう信じたいです。

 

あと、数式を今回たくさん出しましたが、あれは目の前で起こっていることを表現する言語だと思えば、少しは数学アレルギーがとれるんじゃないかなって思います。

 

数式いじりは結構たのしいと思っているので、今回興味を持たれたかたは、ぜひ紙とペンで遊んでいただければ幸いです。

 

【参考図書】

モンティ・ホール問題 テレビ番組から生まれた史上最も議論を呼んだ確率問題の紹介と解説

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