カプリスのかたちをしたアラベスク

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【最近のできごと】

西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
小説・詩・短歌のアンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ」が発売されました。
ぼくは大滝瓶太として「二十一世紀の作者不明」という短編小説を寄稿しています。

「波 2017年7月号(新潮社)」など、雑誌にもちらほら取り上げてもらいました。

また短編集「教育と育児」も好評発売中です!


普通の小説に飽きたひとにおすすめしたい「ちょっと変わった小説」の有名どころを紹介する

今週のお題「わたしの本棚」

 

付き合うひとが割と本を読むひとが多いせいか、以前に比べて本(というか小説)を読むひとが増えているような気がしている。そこでちょっとGoogleトレンドを使って「小説 おすすめ」の検索数推移を調べてみました。

参考までに「小説」単独の検索数推移も見てみたけれど、こっちは一時期に比べ伸びてきているとはいえほとんど横ばい、でも「おすすめ」をつけて検索する数は右肩上がりで、これは割とおもしろい結果かもしれない。なんというか、小説を読む、ということに対して、日本人は年々意欲的になっているのかなぁっておもいます。

小説が読まれるようになると、同時に「普通の小説に飽きた」ってひとも増えるだろうとおもい、今回はぼくの本棚にあったもののうち、「ちょっと変わった」小説を集めてみた。とはいえ、どれも読書家のひとからすれば「基本中の基本」なので、知っているから(読んでいるから)といって、そんなにドヤ顔キメれるものでもないですし。そもそも、ドヤ顔キメるために読書するわけでもないのだけど、まぁドヤ顔キメるのもひとつの楽しみかもしれないのでぼくはあえて否定するようなことはしない(ドヤァ

 

というわけで、本の紹介をサクッと始めます。

 

 

基本中の基本「日本(推理小説)三大奇書」

読書好きなら一度は聞いたことがあるだろう3作品。「読めば精神を病む」だのいわれることもあるけれど(これはドグラ・マグラの本編内で、作中登場する小説「ドグラ・マグラ」の説明として使われることが由来?)、奇書たる所以は、「探偵小説のタブーをおかした作品」という意味のようで、「アンチミステリー」などと呼ばれたりします。

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

 
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

 

夢野久作「ドグラ・マグラ」は作品内に複雑なメタ構造が仕組まれ、時間感覚や「自分が何者であるか」が常に宙吊りにされた状態にある、三大奇書の中でもずば抜けて知名度の高い作品です。あるいは「チャカポコ ブゥーン」としてもあまりにも有名。

  

黒死館殺人事件 (1977年) (現代教養文庫―小栗虫太郎傑作選〈1〉)

黒死館殺人事件 (1977年) (現代教養文庫―小栗虫太郎傑作選〈1〉)

 

 ドグラ・マグラに比べ残る2作はちょっとインパクトは落ちるのですが、糞サブカル読書家としてはきちんと押さえておきたいところ。小栗虫太郎「黒死館殺人事件」は連続殺人事件を名探偵が推理・解決するという仮初めの(!?)姿をしたペダントリー小説。内容がオカルトネタのお饒舌オンパレードで、読んだそばから頭に入らない。でも、なんかこの雰囲気、トマス・ピンチョンをちょっと想起したりもする。

 

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)

 

そしてこちらもペダンティックな作品。中井秀夫「虚無への供物」はほとばしる推理合戦。推理で殴れ!みたいな感じで、「っていうか、殺人事件が起こる前に推理しちゃえばよくね?」みたいなことがしょっぱなからぶっこまれます。ぼくはミステリに疎い読者なので、ミステリに強い友だちに一度どう読んでいるのか聞いてみたいところがあります。

 

文章でぶん殴ってくる系

ページをひらいてぶん殴られる、そんな感じを味わいたい方にオススメしたい小説は以下の3つです。 

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

ロマン〈1〉 (文学の冒険)

 
ロマン〈2〉 (文学の冒険)

ロマン〈2〉 (文学の冒険)

 

 まずは何といってもこのひとは外せない!現代文学のモンスター、ウラジミール・ソローキン兄貴の傑作「ロマン」。「小説」を意味する主人公ロマンが、19世紀的文学世界のなかで絶命するまでを描いた一作。これを書き上げた時、ソローキン兄貴は、

「これで文学の埋葬は完了した・・・(ドヤァ」

といったことはあまりにも有名。文学(=小説(=ロマン))の死とは、何か。それを表現した下巻後半からラストまでの描写がこんな感じ。(写真により引用)

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そしてこれは日本文学の奇行児・木下古栗に受け継がれます。

 

金を払うから素手で殴らせてくれないか?

金を払うから素手で殴らせてくれないか?

 

木下古栗「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」に収録されている迷作「Tシャツ」はでは、ロマンがまち子という中年ババアになり、(無意味に)大活躍するシーンがある。(写真により引用)

 

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木下古栗はもっとみんなに評価されて欲しいので度々このブログでも取り上げるのですが、ほんとうにくだらなく、意味のないものに全力を捧げているあたり好感が持てます。こんな作家は1人いたら十分です。

 

最後は、映画化もして有名になった、

ジョナサン・サフラン・フォア「ものすごくうるさくてありえないほど近い」

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

  • 作者: ジョナサン・サフラン・フォア,近藤 隆文
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映画も結構好きなのですが、この原作は文章がほんとうにいい。 作中、メモ書きであり、絵、ポケベル式の文字入力の連打、逆回しされた連続写真など、ことばではない領域にことばを作ろうとする技巧がたくさん仕組まれています。(写真により引用)

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それを良しとするか、稚拙とみなすかは読むひとにより評価は大きく割れるのですが、こういう小説があってもいいんじゃないかとおもいます。

 

最後に

そもそも小説なんて一作一作に個性があるものなので、ぶっちゃけそれぞれがそれぞれに「変」を持っている、とぼくはおもう。今回紹介したのは「わかりやすい変」であって、ぼくのおもう「これ変だなー」というのはまだまだたくさんあります。最近だと、SF小説をよく読むのだけど、その「変」を次の機会には紹介したいなーっておもっています。

今日紹介した6作品、頭の片隅に残っていたら是非手にとってみてください。

 

(追記:続編を書きました)

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