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カプリスのかたちをしたアラベスク

このブログはフィクションです。詳しくはプロフィール参照。

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「普通」に飽きたひとのためのオススメ小説(2日目)

きのうのエントリー

bibibi-sasa-1205.hatenablog.com

が、たくさんの方にお読みいただけ、とてもうれしく思います。物足らなかったようなので、追加版を今日は書きます。

 

ここにはあえて筒井康隆を入れなかったのですが、それはぼくがあんまり好きじゃないからです。しかして筒井康隆といえば関西人だと「かしこブレーン」としてご存知の方も多いでしょうが、その聡明な頭脳を活かした前衛作品も多く残しています。

ぼくが読んだものから2作。

 

「虚人たち」筒井康隆
虚人たち (中公文庫)

虚人たち (中公文庫)

 

すべての登場人物が自分こそ主人公だと自覚し、原稿用紙1枚が現実世界の1分に相当する。奇天烈な設定であり語られ方に感じるかもしれませんが、現代文学の諸問題を圧縮し、リアリズムとフィクションの異質さをえぐり出すような力のある快作です。

 

「残像に口紅を」筒井康隆
残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

 

文字がひとつずつ消えていくという小説。文庫版の解説には、本作の情報エントロピーの推移をどーのこーのした論文が付いていたようなきがする。

 

 

ウリポについて

筒井康隆が出てきたら、ウリポの話をしなくちゃならない。ウリポというのはフランスの前衛文学集団で、元はシュルレアリスムの影響を受けたひとたちの集まり。シュルレアリストと大きく異なるのは数学的構造に美や真理を見出そうとしたことです。ここからはペレック、カルヴィーノ、クノーの作品を紹介します。

 

「人生使用法」ジョルジュ・ペレック 
人生 使用法

人生 使用法

 

 とにかくでかい本。この本は前述の筒井康隆が大絶賛しています(余談ですが、筒井康隆の「残像に口紅を」はペレックの「煙滅」に刺激されての作だとか)。

これは10×10の全100部屋あるアパートを1章1部屋で記述していく、全100章の小説です。ちなみに登場人物は1000人を超えます。この数字がどんだけすごいかというと、トルストイの「戦争と平和」やトマス・ピンチョンの「重力の虹」でも400〜500人程度と聞くと、結構ぞっとする数字です。作品の詳細もすごいのですが、ここはぼくの解説より優れたブログがありましたので、深入りせずにリンクを貼っておきます。

とりぶみ 【書評】ジョルジュ・ペレック『人生 使用法』

 

「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
宿命の交わる城 (河出文庫)

宿命の交わる城 (河出文庫)

 

 カルヴィーノは個人的に好きな作家で、20歳くらいの時によく読んでいました。この「宿命の交わる城」は巻末のカルヴィーノ本人による解説では

本書はまずタロット・カードの絵模様で作られ、ついでに文字に書き写された。

と書かれています。登場人物の運命をタロット・カードの並びで物語化した小説なのですが、これも昨日のエントリー同様に写真で引用した方がどんな感じかイメージがつかみやすいと思います。

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「文体練習」レーモン・クノー
文体練習 (レーモン・クノー・コレクション 7)

文体練習 (レーモン・クノー・コレクション 7)

 

ウリポのボス、クノー大先生。 これについてはもう説明するまでもないでしょう。下記のURLをご参照ください。

http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E6%96%87%E4%BD%93%E7%B7%B4%E7%BF%92

 

 

書き手と作品の関係がおかしい小説

変な小説なんてあげ出せばきりがないので、これで最後にします。

ボルヘスっぽい作品を取り上げました。

 

 「完全な真空」「虚数」スタニスワフ・レム
完全な真空 (文学の冒険シリーズ)

完全な真空 (文学の冒険シリーズ)

 

 

虚数 (文学の冒険シリーズ)

虚数 (文学の冒険シリーズ)

  • 作者: スタニスワフレム,Stanislaw Lem,長谷見一雄,西成彦,沼野充義
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 単行本
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 「ソラリス」で有名なレムの作品。「完全な真空」は架空の小説の書評で、「虚数」は架空の小説の冒頭集です。読んでいてごちゃごちゃうっせえ!ってなるひともいるだろうとおもうけれど、ないものについて語れば語るほど、あるということ以上の存在感が出てきたりするから不思議です。

 

「烏有此譚」円城塔
烏有此譚

烏有此譚

 

塵が降り積もる部屋の中で僕は「穴」になってしまった、 と言う筋書きの小説に多量の注釈、そして注釈の注釈がひたすら続く小説。ひたすら、といえども原稿用紙にすると100枚程度なのでそんなに長くはないはずなのに、一生読み終わる気がしないような気分になってきます。これも写真による引用で雰囲気を掴んでください。

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「紙の民」サルバドール・プラセンシア
紙の民

紙の民

 

これでついに最後!

メキシコの作家、サルバドール・プラセンシア の3段組の小説。って、もう形式の説明から入っている時点でどうやねんって感じですが。

物語は小説の登場人物たちが小説作者(=土星)に対して、「何見てんだよクソが!」といった感じで反乱してくるというものです。それぞれの主要人物の視点で小説は段組されていて、なかなか楽しいレイアウトになっています。いうまでもありませんが、読了にはなかなか体力を使います苦笑。

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まとめ

というわけで、2日にわたり、「変な」小説をいくつか紹介させていただきました。

変な小説というのは決まって読むのが大変なものばかりですが、単に物語を追うだけでない、文章そのもののおもしろさや、小説って何?みたいなところでの意外な発見があったりしますので、体調を万全にして、本とバトルしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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