カプリスのかたちをしたアラベスク

このブログはフィクションです。詳しくはプロフィール参照。

【最近のできごと】

文学ムック「たべるのがおそい」の編集などを手がける西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
ぼくの初の単著となる短編集「コロニアルタイム」が発売されました。

また同レーベルより発売中のアンソロジー
「ヒドゥン・オーサーズ」

にも短編を寄稿しています。
この本は新潮社が発行している雑誌「波 2017年7月号」で
王様のブランチでおなじみの書評家・滝井朝世さんにも取り上げていただいています。


料理的想像力と嫁氏のいいぶん

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何度かこのブログでも触れたことはあるのだけれど、ぼくは在宅で働いていて、嫁氏は会社勤めだ。

 

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いちおうは平日の子どもの世話なり家事なりはぼくがおこなう比率が大きくなるわけだけど、困ったことに、そういったスキルが一向にあがらない。原因はあきらかで、ぼくにほとんど向上心がないっていうことなのだけれども、これが原因で休日は嫁氏に咎められることもあるっちゃある。

家事はいくらかあるけれども、特にぼくが苦手としているものが「料理」だ。

というか、そもそも食事じたいがそんなに好きじゃないから困る。お金がとてもなかったときは、実家から送られてくる米と玉ねぎで飢えをしのいでいて、その経験のせいか、食事といえば「摂取」ということばがまず頭に浮かんできてしまう。じぶんだけが食う分には最低限の調理だけでいいけれど、他のひとが入ってくると、なかなかそういうわけにもいかない。

 

 

けっきょくは「ひらめき」 

むろん、向上心などない。

さすがに会社勤めの経験がないわけではないので、嫁氏が帰ってくることにはだいたいのもの(米、味噌汁、小鉢1品)は用意しておくことは心がけているのだけれど、どうもメインディッシュとなるとなにをしたらいいのか全くわからなくなる。そういったとき、ぼくには選択肢が2つある。

  1. 嫁氏が帰ってきてから作ってもらう
  2. 手持ちの食材をLINEで伝えてなにを作ればいいのか教えてもらう

いまのところ、嫁氏はほとんど残業がないせいか、前者でも割と快く引き受けてくれるためたいへんありがたい。しかし、いつもいつもそういうわけにはいかないので、後者の場合ある。食材を伝えると、たいがい具体的な料理名が返ってくるのでそのたびに感心する。おもうに、料理とは作り始める前が一番むずかしい。なにを作るかを決めなければ、そもそも包丁も持てないし、鍋に火をかけることもできない。

図形問題を見たときに「ああ、これは極限とったら答えはlog2になるな」とか、そういうのとおなじ感じで、食材から料理を即座に連想しているのだと、なんだかふかく納得した。

ひらめき、である。

よくよくかんがえてみれば、このことはなにも料理に限ったことじゃない。科学研究にしろ広告制作にしろ小説を書くにしろ、とっかかりがいちばんむずかしい。なにもひらめかなければ、なにもできないというのは当たり前のことだった。

じゃあぼくが料理をできるようになるためには、まず「ひらめきの感覚」を鍛えなければならない。しかし、別の分野で多少なりとも持っているひらめきの感覚をかんがえると、これがなかなか一朝一夕ではいかない。あまりいいたくはないけれど、それなりの正当な努力を時間をかけてしなければ決して身につきはしない。だからぼくは嫁氏に本気で怒られるまでは料理は上達しないとおもう。

 

嫁氏がいう、

「仕事(有機合成)と料理はいっしょ。ぶち込んで煮込んだらできる」

飯を食うたびに、何らかのたんぱく質が固まったり、何らかの分子がちぎれたりくっついたりしたものが、腹のなかでさらにちぎれたりくっついたりしているイメージが浮かんでくる。

嫁氏は料理を作った後、ほぼ片付けをしない。台所に打ち捨てられた生ゴミを拾うたびに、料理をたのしくするために必要なことは、食を楽しむことなのではないか、などとおもう。

 

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