カプリスのかたちをしたアラベスク

このブログはフィクションです。詳しくはプロフィール参照。

【最近のできごと】

西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
小説・詩・短歌のアンソロジー「ヒドゥン・オーサーズ」が発売されました。
ぼくは大滝瓶太として「二十一世紀の作者不明」という短編小説を寄稿しています。

発売翌日の2017年5月29日現在Amazonランキング「日本文学」部門で第3位!

また短編集「教育と育児」も好評発売中です!


目に見える事件は物語か?〜書評・西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」

 

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

 

 

ここ最近、なかなか切実なものになってしまった収入が少ない問題に対して一策講じようとおもい、サブでやってる転職ブログを10日で30記事ほど更新した。1記事が1500〜6000字、平均はだいたい3000字程度なのだけど、これが思った以上にキツい。1日の大半をブログ作業に持っていかれた。ありがたいことにこの大幅なコンテンツ補強(ドーピング?)のおかげで読者数はかなり伸びたのだけど、やはりまだGoogle様の評価が安定していないため検索流入は1桁。ここが正念場だとはわかっているけど、やっぱりキツいもんはキツいわけで、どうやらぼくの身体が先に音を上げてしまったらしい。

 

風邪をひいて高熱を出した。

 

39.0度まで熱が上がったのは何年振りか、全然覚えていない。最後にこれだけの熱を出したのがいつなのかわからないけど、20代では一度もなかったはずだ。

久しぶりだからかそもそも熱が身体に悪いからかはしらないが、ともあれ控えめにいってものすごく体調を崩してしまった。昨日はなんとか子どもの保育所の送り迎えはできたけれどそれ以外は完全にダウンしていて、今日の午前中にちょっとくらいの読書ならできるようにはなった。いまはもうほとんど大丈夫だろう、と信じたい。

で、まえから読んでいた西尾維新がメフィスト賞をとってデビューした「クビキリサイクル」をついに読み終えることができたので、その感想を書こうとおもう。

ネタバレはしない方向で書きます。

 

西尾維新アニメプロジェクト

今回「クビキリサイクル」を読もうとおもったきっかけは表題のOVAプロジェクトがきっかけである。制作はもちろん「物語シリーズ」も手がけるシャフトだ。

西尾維新ってぼくは実は物語シリーズとめだかボックスしか読んだことがない。だから、この「戯言シリーズ」の入り口を小説かアニメのどっちにしようかちょっとなやんだ。で、小説にした。理由は小説のほうがブルーレイよりも安いから!

 

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

 

「推理小説」らしさに対抗する小説

この小説「クビキリサイクル」がとても変わっているな、とおもったところが、名探偵不在の推理小説であるところだった。厳密には名探偵は存在しており、その登場はかなりはやい段階から示唆される。しかし、その名探偵と主人公のぼく、そして久渚友はその前に帰らなければならない。

物語は天才の類ばかりが招待された孤島を舞台とした連続殺人で、ここに凡人である「ぼく」と「天才たち」という対立軸が生まれる。

……などと紹介すればけっこう派手な物語になるのだけど、事件そのものはいたって地味だ。そして、「事件の犯人を言い当てるだけなら」ふつーに読んでいればだれにだってできる。

この小説がおもしろかったところは、事件の背後にある真実であり、そしてそれが「推理などというものでは決して到達できない次元にある」という途方もなさだった。はっきりいって、最後に登場した名探偵による推理は、推理なんてものじゃない。ほとんど「理にかなうように整理された事象の羅列」であり、西尾維新の口ぶりを真似れば、「物語らしい物語のかたちをした物語」といったところだろうか。

ともかく、真相にたどり着く推理というものは殺人よりも暴力的で邪悪な営みにすら見えた。その不気味さがおもしろかった。