カプリスのかたちをしたアラベスク

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【最近のできごと】

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人工知能やシンギュラリティを主題とした映画なら抜群に「her」が良い!

dTVを契約しているので、週に1本は映画を観るのだけれど、きょうはSF映画「トランセンデンス」をみた。製作総指揮がクリストファー・ノーラン、主演がジョニー・デップというのもあって、結構期待した。

 

トランセンデンス Blu-ray

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物語の筋をネタバレしないように書けば、

もうすぐ死んでしまう天才科学者の夫の意識をコンピューターへアップロードする。そして人間の肉体を持たず情報として遍在することになったかれが、あたらしいありかたとしての進化を遂げ、世界に技術的特異点(シンギュラリティ)をもたらす。

といったところになるだろうか。

しかしぼくはどうも、このての映画が肌にあわない。

そのことについてちょっと考えてみた。

 

目次

 

人工知能は「肉体を持たない」のか?

人工知能やシンギュラリティを題材にした映画は、かならずといっていいほど「人間と人工知能の差異」であったり、「人間としての魂の所在」というものが大きなトピックとして問題に絡んでくる。「トランセンデンス」やチューリングテストを題材にした映画「エクス・マキナ」などはその典型といっていいだろう。

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しかし、そういったものは往々にして問題の本質を捕えそこなっているような出来栄えでしかない。

たとえば今回見た「トランセンデンス」については、「肉体」という認識が極めて甘い。

「人工知能=情報だけのすがたかたちのない存在」

という発想をあまりにも無批判に受け入れすぎているような印象だ。

「肉体=見かけ上の人間」という等式は、実際のところ人工知能とはいかなる存在かという思考をするためになんの役にも立たない。ぼくらがものを考えたり、なにかを思ったり感じたりするのは、知覚器官を通じて外的刺激を受けることが引き金になってくる。とりわけ情報処理の速度に特化し、演算によりなんらかの結論をくだす人工知能にとっての「思考」が、人間とどのように違っているのかを知るためには、この知覚器官を肉体と捕えるべきなんじゃないか?

つまり、情報を収集するデバイスやらなにやらが「肉体」として機能しているはずであり、人工知能が肉体を持たないというのはヒューマンドラマ的なセンチメンタルでしかないだろう。

 

一方で、「エクス・マキナ」はチューリングテストを題材にしているだけあって「知性」が物語の主題になっているにも関わらず、その知性が単なる演算にとどまってしまっている。「与えられた課題を解く」ということのみの描写にとどまり、そこに「発想」が含まれてはいないようにぼくはかんじた。こういう映画だからこそ「演算」と「発想」のちがいは、明確に示されねばならない。

 

「her」はぶっちぎりでいいぞ。

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人工知能やシンギュラリティが絡んでくる映画のなかで、ぼくは抜群に「her/世界でひとつの彼女」が素晴らしいとおもっている。

この映画はいまでいうSiriみたいな機能を持つOSが、主人公と恋愛関係になるという物語だ。主人公とOSはたがいをパートナーとして大切におもうのだけれど、人間と人工知能の差異から、わかろうとするほどわかりあえなくなってしまう。

この映画のとりわけすばらしい点は、「トランセンデンス」で見落とされていた「人工知能の肉体」にきちんとスポットがあてられているところだ。人間とは比べ物にならない処理速度であるがゆえ、人工知能の彼女は人間とはまったくちがう時間をどうしようもなく生きてしまう。

ここをきちんと描いている作品はいまのところこれ以外に思い当たらないので、個人的に非常におすすめ。

 

dTVで3つとも見れる。

Amazonプライム派かdTV派で別れるのだけれど、ぼくはdTV派です。理由は単純に動画数が多いから。

この記事で紹介した3作品はすべてdTVで観れる。けれども「エクス・マキナ」はレンタルなので注意。

dTVは月額500円で動画約12万本が見放題、という異常なほどのコスパの良さが特徴。無料期間が31日あるので、試してみる価値はある。無料お試しはこちら↓

 

 レビューはこっち↓

www.waka-macha.com

 

ということで、きょうはここまで。