カプリスのかたちをしたアラベスク

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【最近のできごと】

西崎憲主宰の電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」より
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ぼくは大滝瓶太として「二十一世紀の作者不明」という短編小説を寄稿しています。

「波 2017年7月号(新潮社)」など、雑誌にもちらほら取り上げてもらいました。

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原作ラノベ「ノーゲーム・ノーライフ」を読んで劇場版・アニメ続編に備えた件

※このエントリーにはライトノベル作品「ノーゲーム・ノーライフ」の内容に言及する箇所がありますが、核心部のネタバレはしないように頑張りました。

 

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好きなアニメであって、そして2期をずっと待っているのに一向に放映されない作品「ノーゲーム・ノーライフ」(以下ノゲラ)の続きがどんな展開をするのか、そろそろ我慢できなくなったので原作ラノベを読んだ。ラノベはそこまで多く読むことはなく、知識らしい知識もなく、またラノベを書いている友だちというのも知り合いにいないこともあって、ぼくのなかではけっこう「不思議」な存在だなって前から思っていた。

以下、ノゲラについてのレビューや雑感と、ライトノベルについての思いつきを書いていきたい。

あと、この夏の劇場版「ノーゲーム・ノーライフ  ゼロ」に備えて予習しておきたい人は参考にしてくれると嬉しい。

 

目次

 

ノゲラってどんな話?

ちなみにノゲラはwikipedeiaではこのように説明されている作品だ。

 

『 』(くうはく)――それはあらゆるゲームで連勝を重ね、チート、アシストツール等どんな手段を使っても勝てないとされる天才ゲーマーの名前であった。あらゆるゲームで無敗の記録を持つことから一部では都市伝説とされている。

その『 』の正体である空と白はある日、「生まれてくる世界を間違えたと感じたことはないか」と書かれたメールを受け取る。世界を「クソゲー」と呼ぶ『 』の答えを聞いたメールの送り主・テトは『 』を自分の世界へ召喚した。そこは知性ありしモノと主張する【十六種族】と世界の絶対法則【十の盟約】の下に、『 』が夢見ていた、この世の全てが単純なゲームで決まる世界――盤上の世界(ディスボード)だった。

 

引用:ノーゲーム・ノーライフ - Wikipedia

 

つまり、

「異世界転生」×「最弱=最強」×「俺TUEEEE」

みたいな物語で、昨今のライトノベルらしい作品だとおもう。

アニメ1期では『  』がすべてがゲームで決まる世界「ディスボード」に召喚されてから、「人類種」の王になり、いろいろあって「獣人種」と勝負するところまで描かれているのだけれど、この物語の主人公らの目的は「唯一神との対決に勝つこと」にあり、そのためには16種族すべてと手を組まなければならないため、割と長いシリーズにならざるをえないことが明らかだ。

 

ライトノベルは一般文芸とそもそも市場が違いすぎる

それで思ったのが、ライトノベルってシリーズ化が前提とされている(!?)あたり、いわゆる「一般文芸」とは決定的に違う。もちろん、東野圭吾の「ガリレオ」シリーズなんてのがわかりやすい例であるのだけれども、一般文芸だってシリーズ化するものはたくさんある。しかし、ライトノベルは割と節操なくシリーズ化している。

そしてめちゃくちゃ売れる。

本を売るのが難しいこの時代に、帯には「累計240万部!」とか景気のいいアオリがあったりするから驚く。ちなみにキャリアの浅い純文学作家の本は「1万部刷られたらメガヒット!」なんて話を聞いたことがある。

出版業界に明るいわけじゃないけれど、ライトノベルは本屋さんでも一般文芸とはまったく違う棚に集められている傾向があるようで、その現状から容易に想像できるのはそもそも一般文芸とまったく違う市場を持っているということだ。同じ「小説」ではあるけれど、決定的な「違い」はここに出てるなぁと。

はやい話、いわゆる「オタク」層がターゲットになっていて、そしてこの層は非常に購買欲が強い。このあたりを深く考えたところで今更感がめちゃくちゃあるので詳しくは「動物化するポストモダン(東浩紀)」あたりを読んで!としかいう気はない(そもそも考察・議論をする気もまったくない)。まぁ、シリーズ化はオタクのニーズとよくあっている的なソレだ。メディアミックスとかね。

ラノベと一般文芸をいざ比較してみると、市場の大きさっていうのは「人口の絶対数」じゃなくて「動く金の大きさ」なんだなという、当たり前すぎる事実を痛感させてくれる(ような気がする)。

 

 

今回読んだやつ

アニメ1期の続きはこんな感じだった。簡単なあらすじと感想も合わせて書いておく。

 

4・5巻:吸血種(ダンビール)・海棲種(セイレーン)篇

他種族に頼らなければ絶滅の危機に瀕してしまう「吸血種」と「海棲種」についてのお話。「弱者であること」が物語の根幹を作っていて、吸血種は生き延びるために知恵を駆使するけれど、しかし海棲種は信じがたいバカという設定がとてもいい。

ノゲラでは「魔法適正」なるものによって種族が順位付けされているけれども、その順位は必ずしもこの世界での強さを意味しない。そして知的であることこそ力と思われるこの世界では、「バカであること」さえも力となりえてしまうことをかなり上手いバランスで描いている。

個人的にイチオシな回で、2期のアニメ化で超期待。

 

6巻:大戦(映画化するやつ)

6000年前の「十の盟約」以前の昔話を、唯一神のテトが獣人種の幼女・いづなに語る回。映画化しやがるやつ、です!

空そっくりの人類種の「リク」、白そっくりの機凱種「シュヴィ」が共闘して世界を影で操り大戦を終結させる物語で、シリーズ全体を通しても重要度がかなり高い回。

当然のように「機械と人間の違い」「種族を超えた恋愛」という要素が出てくるのだけれども、こういうものには食傷気味のぼくにはちょっとしんどかった。

映画はもちろん見に行きます。

 

7・8巻 :神霊種(オールドデウス)

実は身近なところに「位階序列第1位:神霊種」がいたということで、それと対決する回。早い段階で「1位」が登場するのは好感が持てる。というのも、それだけで位階序列≠この世界での強さだとはっきり示していることになるからだ。

行うゲームはアホみたいにでかい盤を使った「すごろく」で、しかしそのルールは複雑だ。ルールはどうやら「参加者全員の話し合い」で決められたようだが、ゲーム開始から24時間以内の記憶は徴収されている。しかし、参加者のうちひとりだけ「記憶を徴収されていない裏切り者」がいるという。

某ライアーゲーム感あふれるお約束の展開だけれど、しかしこの手のお約束ではありがちなように「ルールが煩雑すぎて読むのが疲れる」という欠点がある。

また、作り込んだ割には「それほど……」感も否めない。

あと「くっ殺」出てくるのおもしろかった。

 

9巻:機凱種(エクスマキナ)

6巻の伏線回収の回。機凱種が空の貞操を奪いにくる。

下品なサブカルなフレンズにはさぞかしおいしい回でしょう。

 

ライトノベルは「おやくそく」が風流

ライトノベルを読んでいておもうのは、「ベタ」が徹底されているということだ。

この理由は、たとえばノゲラを説明するときに

「異世界転生」×「最弱=最強」×「俺TUEEEE」

というようなことができるように、すでに一定の人気を得た作品群(ジャンル)の定型を物語の駆動力にしているからだといえるんじゃないかな。

もちろん「古今東西のラノベを読み尽くしました!」なんてことはないからはっきり言い切ることはできないのだけれど、ライトノベルのほとんどの作品はゼロベースで構想されていないような気がする。こう書くと「ラノベをバカにするな!」という風にお怒りになるお友だちが多いのだけれども、ぼくは「ゼロベースで作ることこそ正義!」なんていう思想を持った覚えもない。それは単なる特徴だ。

そもそも「人はゼロベースで物を考えることができるのだろうか」なんてちゃぶ台を返されるともう何もいうことがなくなるわけだけれども、「こういう系が売れている」という事実と創作の距離が近いように思える。

それはラノベ市場はその規模の大きさゆえなんじゃない?という風にぼくは証明するつもりなくただ思っているのだけれど、既存の「こういう系をただ組み合わせただけ」との物言いに嫌悪感を示したがる人もやはりいる。しかし、ライトノベルは既存のパーツの組み合わせだけじゃなく、その(半ば自嘲気味の)パロディなどをからめながら発展させていく。

そして特筆すべきは創作される作品数の多さだ。かつて「純文学新人賞」について記事を書いたとき、「応募総数は2000作くらい」が相場だと書いたけれども、ライトノベル新人賞の応募数はその3倍〜4倍にのぼる。

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年々おびただしい数の創作が行われることは、新たに流行るジャンルやオワコン化するジャンルがめちゃくちゃ出てくることも意味している。もちろん、ネット上の出来事もリアルタイムで更新されていくためで、かなり激しい新陳代謝が日々行われている死屍累々(!?)のフィールドがラノベ業界なんだろうな、なんて常々おもう。

そしてオワコン化しても「オワコンであること」がまたネタとなって、数年前に流行ったこともあっという間に「古典的」になり、なんか奇妙な愛着すら出てくる。

「食パン加えた女子学生」というお約束はつまらないだろうか?

いや、風流だ。

そんなことをぼんやりおもうたびに、ライトノベルは独自の生態系を作ってんだなぁ……という尊さを覚えるのだった。

 

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